最初の一歩は、ミツバチの羽音ではなく、静けさでした。
都市を離れ、多自然の山あいに暮らしを移したとき、地域の方から伺った課題は「耕作放棄地」や「森林保全」、季節の手入れが止まった田畑と、入り口を失った山林。草は伸び、畦は切れ、風景の糸がほどけかけている——そんな印象でした。
「養蜂家だから、できることがあるのでは。」
それが出発点です。花を育てれば、
- 使われていない土地に役目が戻り、
- ミツバチは暮らしやすくなり、
- 景観が整えば、やがて人が歩きに来る——。
この仮説を確かめるために、私たちは小さな試みを始めました。
花織里プロジェクト-Beellage
「ミツバチの好きな花を育て、ミツバチたちが安心して飛び交う花々が織りなす里を育もう」
という想いから「花織里(かおり)プロジェクト」
「Bees(ミツバチ) + Village(集落) = Beellage」として歩みはじめました。
小さな実験からわかったこと
数十種類の草花・花木を育て、季節ごとにミツバチが好む花を観察しました。
どの花に集まるか、どの季節に空白が出るか。
ノートには、**花のリレー**の図と、維持管理の頻度が積み重なっていき、
少しずつ、花とミツバチの写真を撮れる機会が増えていきました。













昨年の出来事——価値の再確認
そんな折、養蜂場にクマが侵入。
大切なミツバチたちが大きなダメージを負い、事業としても経営の見直しを余儀なくされる中で、
私たちの仮説をもう一段深くしてくれました。
花を育てることは、
実りを支え、生きものの多様さを広げることでもある。
そして、人と野生の“境”を層で設計する必要がある。
“美しさ”と“暮らし”を同じ図の上に置く。その確信が固まりました。
いま、1haへ。サッカー場1.5個分
これまで小規模で試験してきた取り組みを、一歩大きくする段階に入ります。
- コアとなる耕作放棄地(1ha)を地域より借り受け、花畑を一段広げます。
- 四季折々の花のモザイクをつくります。
- 近隣の協力農家とともに**緑肥(レンゲ草やヘアリーベッチ)**の帯を地域に描きます。

私たちの合言葉は、「あなたの色で、里は春になる。」。
これからの景色
春、紫(ヘアリーベッチ/レンゲ草)と白(クローバー)が長い帯になり、
初夏は涼しい青、盛夏は深い紫、秋にはやわらかな黄が重なっていく。
ミツバチは近くを巡り、人は歩いて観賞する。
静けさは残したまま、風景は少しずつ賑やかになっていく。
それが、**花織里プロジェクト-Beellage**の描く未来です。
ご一緒に
- 10aサポート口:花帯づくりの実費に充当(詳細は近日公開)
- 協力農家(近隣に限る):緑肥播種でプロジェクト補助(10a単位で応相談)
- ボランティア:植栽体験・草刈等維持管理(季節募集)
- 公式通販サイト:ポイント会員
最後に。
ここは、ミツバチのためだけの畑ではありません。
里の明日のための、花の編みものです。
あなたの10aが、この町に春の一節を足してくれます。