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ミツバチ不足は、はちみつだけの問題ではありません|受粉・食卓・里山を支える、小さな働き手のいま

イチゴの花を訪れるミツバチの様子

春から初夏にかけて、花が咲き、ミツバチが飛び交う季節になります。

けれど近年、日本はもとより世界各地で
「ミツバチが足りない」という声が聞かれるようになりました。
それは、はちみつの生産量だけの話ではありません。

ミツバチは、いちごやメロン、すいかなど、
多種の農作物の受粉の担い手としても用いられおり、
農業の現場では欠かせない存在です。
農林水産省も、ミツバチやマルハナバチなどの花粉交配用昆虫について、
施設園芸の省力化や安定生産に欠かせないものとして位置づけ、
不足に備えた体制づくりを進めています。

つまり、ミツバチ不足は、
養蜂家だけの問題ではなく、
農家さんの問題であり、
食卓の問題であり、
山や里の環境の問題でもあります。


目次

ミツバチは、何を支えているのか

ミツバチというと、まず「はちみつ」を思い浮かべる方が多いかもしれません。

もちろん、はちみつはミツバチが花から集めてくれる大切な恵みです。
けれど、ミツバチの仕事はそれだけではありません。

花から花へ飛び、蜜を集める途中で花粉を運ぶ。
その働きによって、実を結ぶ作物があります。

いちご、メロン、すいか、りんご、かぼちゃ、さくらんぼ、アーモンドやコーヒーなど挙げるとキリがないほど。
私たちの身近な果物や野菜の多くが、ミツバチをはじめとする花粉交配者の働きと関わっています。

国連食糧農業機関:Food and Agriculture Organization of the United Nations(以下FAO)は、ミツバチなどの送粉者が世界の作物生産の35%に関わり、主要な食用作物87品目の生産量を高めていると説明しています。
また、Our World in Data(オックスフォード大学の研究者が中心となり運営する統計・データ公開プラットフォーム)は、作物の種類で見ると約4分の3が送粉者に何らか依存している一方、食料生産量ベースでは約3分の1が送粉者に依存していると整理しています。

小さな羽音は、思っている以上に大きなものを支えています。


日本でも「花粉交配用ミツバチ」の不足に備えている

農業の現場では、ミツバチは「花粉交配用昆虫」として利用されています。

農林水産省は、イチゴやトマト、メロンなどの園芸作物で、ミツバチ・マルハナバチ・ビーフライなどが花粉交配の手段として使われ、生産者さんの省力化を図る上で欠かせないものだとしています。

さらに、ミツバチ不足が見込まれる場合に備え、都道府県や関係機関と連携し、必要群数・不足群数・供給余力群数などの情報収集と共有を行う体制も整えられています。

これはつまり、
「ミツバチが足りなくなったら困るかもしれない」ではなく、
すでに行政も備えを進めるほど、現実的な課題になっているということです。

食品業界紙でも、ミツバチ不足による国産はちみつの減産懸念や、輸入品の品質・表示をめぐる問題が取り上げられています。業界内でも、国産はちみつの安定供給や信頼性があらためて問われている状況です。


なぜ、ミツバチは減っているのか

ミツバチや送粉者が置かれている環境は、ひとつの原因だけで悪くなっているわけではありません。

FAOは、ミツバチなどの送粉者が、気候変動、集約的な農業、農薬の使用、生物多様性の損失、汚染など、複数の影響を受けていると指摘しています。

Our World in Dataも、送粉昆虫への脅威として、生息地の喪失、気候変動、農業で使われる農薬・肥料などを挙げています。

養蜂の現場で見ても、課題はひとつではありません。

花が減る。
草地が荒れる。
山と里の境界が曖昧になる。
気候が読みにくくなる。
病害虫やダニへの対応が必要になる。
獣害によって巣箱が壊されることもある。

ミツバチ不足は、単に「蜂の数が減った」という話ではなく、
ミツバチが暮らしにくい環境が広がっているということでもあります。


はちみつの価格だけでなく、食卓にも関わる話

ミツバチ不足と聞くと、
「はちみつが少なくなるのかな」
と思われるかもしれません。

もちろん、それも一つの影響です。

けれど、本当に大きいのは、受粉の問題です。

ミツバチが足りなくなれば、
農家さんは人の手間を増やしたり、
別の花粉交配用昆虫を使ったり、
作業方法を変えたりしなければなりません。

それは、作物の価格や品質、安定供給にもつながります。

FAOは、ミツバチなどの送粉者が果物、ナッツ、種子などの生産だけでなく、食の多様性や栄養にも関わっているとしています。

ミツバチ不足は、
はちみつ売り場だけの話ではなく、
果物売り場、野菜売り場、そして毎日の食卓へとつながっていきます。


Shinobeeが考える「ミツバチ不足」への向き合い方

Shinobeeは、兵庫県宍粟市の山あいで養蜂をしています。

山の花が咲くこと。
田畑に草花が残ること。
人が山野に少しずつ手を入れること。
農薬を使用しないこと。

ミツバチが暮らす環境が豊かであること。

それらはすべて、はちみつの味にも、ミツバチの健康にもつながっています。

以下のページにも記載しているように、
当園ではたくさんはちみつを採取することより、
ミツバチが健やかに暮らすことを大切にしています。

そのため、年度末にはお売りするはちみつが無い年もあり、ご迷惑をおかけします。

だから私たちは、巣箱の中だけを見ていては足りないと感じています。

巣箱の外に、どんな花があるのか。
山と里の境界はどうなっているのか。
荒れ地に風は通っているのか。
人の手が離れた場所に、もう一度花を戻せるのか。

その問いから、Shinobeeでは花織里プロジェクトを進めています。

荒れ地を花で彩り、
ミツバチが安心して暮らす山里を整えていく取り組みです。

それは、はちみつを増やすためだけではありません。
ミツバチが飛び、花が咲き、人がそこに関わる景色を、もう一度つくるための小さな実践です。

ミツバチのための花織里プロジェクトで蜜源となる花(ヘアリーベッチ)を育てる圃場

私たちにできること

ミツバチ不足という問題は大きく見えます。
でも、できることは身近にもあります。

  • 庭やベランダに、蜜源になる花を植える
  • 除草剤や殺虫剤など農薬の使い方を見直す
  • 地域の養蜂家や農家の取り組みを知る
  • 国産はちみつを選び、背景ごと受け取る
  • 花や里山を守る活動に参加する

FAOも、家庭で花を育てるような小さな選択が、送粉者を支える行動につながると呼びかけています。

大きな仕組みを一度に変えることはできなくても、
自分の暮らしの周りに、花をひとつ増やすことはできます。

その小さな花に、
ある日、ミツバチが来るかもしれません。


まとめ|羽音のある景色を、次の季節へ

ミツバチ不足は、
はちみつの量が減った増えた、高くなった安くなった、だけの問題ではありません。

果物や野菜の実り。
農家さんの仕事。
里山の景色。
そして、日常の食卓で。

その多くに、ミツバチの小さな働きが関わっています。

だからこそ、Shinobeeはこれからも、
はちみつを届けるだけでなく、
ミツバチが暮らす環境そのものに目を向けていきたいと思っています。

荒れ地に花を。
山里に風を。
そして、次の季節にも羽音が聞こえる景色を。

ひと匙のはちみつの向こう側にあるものを、
少しだけ想像していただけたらうれしいです。


花とミツバチの景色を、一緒に育てる

Shinobeeでは、ミツバチが安心して暮らす山里を整える
花織里プロジェクトを進めています。

花を増やすこと。
荒れ地に風を通すこと。
人とミツバチが共にいられる景色を、少しずつ育てていくこと。

この取り組みに関心のある方は、ぜひこちらもご覧ください。

▶︎ Shinobeeのはちみつを見る

イチゴの花を訪れるミツバチの様子

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