国産はちみつ

はちみつ

はちみつを購入する際、
「産地」にどこまでこだわりますか?

「国産が良いな。」とは思いつつも、
「手頃な価格だから…」と、海外産のはちみつを
購入される方も多いのではないでしょうか。

スーパーなどで気軽に購入できることも、
理由の一つかもしれません。
意外と知らない国産はちみつの価値について、
お話していきたいと思います。

国産のはちみつはとても希少

輸入はちみつに比べ、国産はちみつは、とても希少なものです。

令和元年には4万7千トンのはちみつが消費されていますが、
国産のはちみつはわずか6%
日本で流通するはちみつのほとんどが、輸入品になります。

お米の自給率は95%にもなるので、
その「逆」と考えると、
いかに手にとっていただける機会が、
少ないかということがが伺えます。

はちみつの歴史は、
今から、さかのぼること、
約8000年。紀元前6000年頃。
スペインの洞窟から発見された
木に登り、はちみつを採取している姿が描かれた壁画にあります。

「蜂に刺される!」という、危険を犯してでも、
手に入れたいはちみつは、古代人にとっても、
よほど魅力的なものだったのでしょう。

イギリスで、昔から伝えられている言葉に
「The history of honey is the history of mankind. 」
(はちみつの歴史は人類の歴史)

という言葉もあり、いかに古くから身近な存在だったのかがわかります。

世界では、そうして紀元前から、
はちみつの採取をおこなっていたものの、
日本においては、大化の改新の前にあたる、643年。
「日本書紀」にしるされている記述が最古となります。

是歲、百濟太子餘豐、以蜜蜂房四枚、放養於三輪山。而終不蕃息。

日本書紀 原文

つまり、
「日本へ人質として来た百済の王子・豊璋が、
三輪山で蜜蜂を放して養蜂を試みたが、失敗した。」
という、日本の養蜂の歴史は失敗から始まっているのです。

その後、日本において、
養蜂が確立してきたのは、江戸時代に入ってからです。

江戸時代に普及した養蜂は「旧式養蜂」と呼ばれ、
広く浸透したとはいえ、旧式養蜂の生産力はとても貧弱で、
現在の1割ほど、といわれています。

明治時代に入り、
ようやく海外の技術が、日本にも入ったことによって、
ひとつの産業として、はちみつが日々、身近な存在になっていきます。

そのため日本は、「養蜂業」という産業からみると、
むしろ<後進国>といえるでしょう。

日本で見かけるはちみつのうち、
約7割を、中国産が占めていて、
比較的、お手頃な価格で、
販売されているものが多いです。

中国は、はちみつの生産量が世界一で、その量なんと47万トンとも。
ちなみに日本では3千トンを下回ります。

養蜂ができる場所が限られている

養蜂には、ミツバチたちが生活していくため、
豊かな自然が必要不可欠です。

宍粟市
わたしたちShinobeeが、拠点を置く宍粟市は、
市内の9割を森林が占める、自然豊かな風景が広がります。

日本国内において、蜜源となる花々のある土地が、年々減少していることも、
養蜂産業が下降した、理由の一つとしてあげられます。

特に昭和60年以降、土地の開発が進み、
環境が変わってきたことによって、自然が減りつつある日本では、
ミツバチたちを飼育できる環境も、少なく、限られてきています。

農林水産省による、日本国内のはちみつ生産量のデータでは、
昭和60年が7千トンであったのに比べて、
令和元年には3千トンを下回り、
約30年の間に半分以下になったという実績がでています。

昭和60年令和元年
7,225トン2,911トン
国内はちみつ生産量 参照:農林水産省

日本には「四季」があり気温差もあるからこそ、
他の国にはできない繊細な味わいを引き出すこともできます。

そのためには、
夏の暑さ、冬の寒さ、日差し、風雨や湿気、
日本独特の気候をしのげるか。
ミツバチに適した風土や、養蜂家としての技術が必要になります。

国産はちみつと海外産はちみつの違いとは

そもそも、国産はちみつと輸入はちみつで何が違うのか、
疑問に思われる方もいるかもしれません。

  • 花々や自然<飼育環境>
  • 生産者としての顔
  • 輸送の過程

にヒントがあります。

ご存知のとおり、はちみつの香りは、
採取する花によっても変わります。
そのため、世界には4000種類以上の、
はちみつがあるといわれています。

たとえば、

  • ニュージーランドの「マヌカ」
  • カナダの「クローバー」
  • 中国の「レンゲ」

日本においても、
サクラ、ナタネ、リンゴ、トチ、ソバ…
多種多様なはちみつを楽しめます。

「ところ変われば、味変わる。」
と、言われるほど採取する地域によっても風味が変わります。

自然環境の変化の中で、その土地に適した花々が残り、
その土地ならではの、花々のバランスによって、
はちみつの風味が生み出されているからです。

そして、はちみつを採取する時期や、ろ過の方法、保存方法など、
作り手である、わたしたち養蜂家によっても変わります。

ミツバチたちや、自然環境と、どのように接しているのか。
はちみつ作りに、どんな想いが込められているのか。
といった、生産者や、はちみつが生まれる背景が、
「見える」ということも大切なことでしょう。

輸送の過程に関しては、ブログページに記載しております。

まとめ

国産はちみつの価値について、
少しご理解いただけましたでしょうか?

貴重なのものであり、こだわっている分、
輸入はちみつと比較すると、
国産のはちみつは高価なものが多く、
「食べたことがない」「ちょっと贅沢」という方もいると思います。

決して、お手頃な、輸入はちみつが劣っている。
ということではなく。

日常的に口にするものだから
生産者の想いや
飼育環境がみえるような
皆様が信頼できる生産者から
購入されることをおすすめいたします

そして、この機会に四季豊かな日本ならではの、
国産はちみつに興味を持っていただけたら幸いです。